ヒト(同種)iPS(様)細胞加工製品を用いた亜急性期脊髄損傷(外傷性)の治療(本文及び別紙)

ガイドラインID 2021-HN-RE-038
発出年月日 2021-02-26
発出番号 令和3年2月26日付 薬 生 機 審 発 0 2 2 6第1号
WG名 再生医療審査WG
制度名 次世代医療機器・再生医療等製品評価指標(審査ガイドライン)
製品区分 再生医療・遺伝子治療
分野

再生医療

GL日本語版ファイル

2021-HN-RE-038 ヒト 同種 iPS 様 細胞加工製品を用いた亜急性期脊髄損傷 外傷性 の治療 本文及び別紙

英文タイトル
GL英語版ファイル

GL:イントロ・スコープ

1.はじめに
ヒト由来の人工多能性幹細胞(iPS 細胞)又は人工多能性幹細胞様細胞(iPS 様細胞)のうち、同種由来 iPS 細胞又は iPS 様細胞を加工した製品(以下「ヒト(同種)iPS(様)細胞加工製品」という。)の品質及び安全性を確保するための基本的な技術要件は、「ヒト(同種)iPS(様)細胞加工医薬品等の品質及び安全性の確保について」(平成 24 年9月7日付け薬食発 0907 第5号厚生労働省医薬食品局長通知)に定められているところである。
本評価指標は、ヒト(同種)iPS(様)細胞加工製品のうち特に亜急性期脊髄損傷(外傷性)の治療を目的として適用される再生医療等製品(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号)第2条第9項に規定する「再生医療等製品」をいう。以下同じ。)について、上述の基本的な技術要件に加えて当該製品特有の留意すべき事項を示すものである。

2. 本評価指標の対象
本評価指標は、ヒト(同種)iPS(様)細胞加工製品のうち特に亜急性期脊髄損傷(外傷性)の治療を目的として脊髄内移植される再生医療等製品について、基本的な技術要件に加えて品質、有効性及び安全性の評価にあたって留意すべき事項を示すものである。

3.本評価指標の位置づけ
本評価指標は、技術開発の著しいヒト(同種)iPS(様)細胞加工製品を対象とするものであることを勘案し、留意すべき事項を網羅的に示したものではなく、現時点で考えられる点について示している。よって、今後の更なる技術革新や知見の集積等を踏まえ改訂されるものであり、申請内容に関して拘束力を有するものではない。
製品の評価に当たっては、個別の製品の特性を十分理解した上で、科学的な合理性をもって柔軟に対応することが必要である。
なお、本評価指標の他、国内外のその他の関連ガイドラインを参考にすることも考慮すべきである。

GL:本体

4.用語の定義
(1) 脊髄損傷亜急性期:脊髄損傷急性期は受傷直後〜受傷後1週間、慢性期は受傷後6ヶ月または1年、亜急性期は急性期と慢性期の間の期間である。本評価指標では「亜急性期」を受傷後 2 週から 2 ヶ月程度とした。
(2) 脊髄内移植(神経組織内への移植):脊髄損傷に対する細胞移植療法の投与経路のひとつとして直接注入がある。本評価指標では損傷中心への注入と周辺部への注入をまとめて「脊髄内移植・神経組織内への移植」とした。
(3) 脊髄損傷の重症度:脊髄損傷は受傷高位以下の運動・感覚が完全に失われる完全麻痺と何らかの機能が残存する不全麻痺に大別される。概説的な重症度分類として Frankel 分類や American Spinal Injury Association impairment scale(AIS)が頻用され、A:完全麻痺、B:運動完全麻痺・感覚残存、C:運動不全麻痺、D:運動不全麻痺(立位・歩行可能)、E: 正常の5段階に分類する。
(4) 脊髄損傷の高位:脊髄損傷はその受傷高位により臨床像が大きく異なる。頚髄損傷では四肢麻痺を胸髄損傷では下肢麻痺をきたす。
(5) 神経細胞、神経幹細胞、神経前駆細胞:神経幹細胞 (neural stem cell)は,多分化能と自己複製能を持った細胞であり、何回かの分裂後に特定の分化細胞に分化するよう運命づけられた細胞を前駆細胞(neural progenitor cell)と呼ぶ。神経細胞に最終分化したものを神経細胞と称する。
(6) 神経系細胞・神経系分化細胞: 本評価指標では iPS(様)細胞から in vitro で、または移植後に体内で神経細胞・アストロサイト・オリゴデンドロサイトの神経系 3 系統に分化したものを「神経系分化細胞」と呼称する。
(7) 細胞凝集塊(neurosphere 構造):神経幹/前駆細胞を特定の成長因子存在下で浮遊培養すると未分化な神経幹/前駆細胞・様々な分化過程の細胞が混在した細胞凝集塊(Neurosphere)を形成する。
(8) MRI (diffusion tensor imaging: DTI)。拡散強調テンソル画像 (DTI) は水分子の拡散方向を評価する MRI の手法である。特定の神経索路の DTI パラメータを頭尾側に追跡し画像化したものが Diffusion tensor tractography で、脊髄白質障害度を視覚的に表現できるので有用性が高い。
(9) セル・バンク:均一な組成の内容物をそれぞれに含む相当数の容器を集めた状態で、一定の条件下で保存しているものである。個々の容器には、単一の細胞プールから分注された細胞が含まれている。( ICH Q5D 「生物薬品 バイオテクノロジー応用医薬品/生物起源由来医薬品 製造用細胞基剤の由来、調製及び特性解析について」(平成 12 年7月 14 日付け医薬審第 873 号厚生省医薬安全局審査管理課長通知)の定義と同じ)

5.評価に当たって留意すべき事項
本評価指標は、当面、既に再生医療等製品の原材料として株化されているヒト(同種)iPS(様)細胞(細胞株)を主たる原材料として製造所に受け入れ、製造所においてセル・バンク・システムを構築し加工して製造された、ヒト(同種)iPS(様)細胞加工製品としての神経前駆細胞又は他の神経系分化細胞の評価に適用することを想定している。再生医療等製品の製造所内でヒト(同種)iPS(様)細胞を体細胞から新たに樹立し、これを原材料とした再生医療等製品の製造を意図するような場合には、本評価指標を参照しつつ、「ヒト(同種)iPS(様)細胞加工医薬品等の品質及び安全性の確保について」(平成 24 年9月7日付け薬食発食発 0907 第5号厚生労働省医薬食品局長通知)等を参考とすること。

(1) 原料等
原料等となる iPS (様)細胞は、再生医療等製品の原材料として株化され、セル・バンク・システムを構築したヒト(同種) iPS (様)細胞であって、一定の製造工程を経ることにより神経前駆細胞及び他の神経系分化細胞へ分化することが確認されている、又は合理的に予測されるものである必要がある。
ヒト体細胞への初期化遺伝子導入による遺伝子リプログラミングにより iPS (様)細胞を樹立した場合には、導入された遺伝子の残存が否定されていることが望ましい。残存が否定できない場合には、導入遺伝子が最終製品である神経前駆細胞及び他の神経系分化細胞の品質及び安全性に悪影響を与えないことを確認する必要がある。

(2) 製造工程において特に注意が必要な事項
神経前駆細胞及び他の神経系分化細胞 (最終製品)の製造に当たっては、製造方法を明確にし、可能な範囲でその妥当性を以下の項目で検証し、一定の品質を保持すること。
①ロット構成の有無とロットの規定
最終製品及び中間製品がロットを構成するか否かを明らかにすること。ロットを構成する場合には、ロットの内容について規定しておくこと。
②製造方法
原材料となる iPS (様)細胞株の製造所への受入から出発原料となるヒト iPS (様)細胞からのセル・バンク・システム構築までの履歴、及び出発原料から分化段階の進んだ細胞を経て最終製品に至る製造方法の概要を示すとともに、具体的な処理内容及び必要な工程管理、品質管理の内容を明らかにすること。
a) 受入検査
原材料となる iPS (様)細胞株について、製造所への受入れのための試験検査の項目(例えば、目視検査、顕微鏡検査、生存率、細胞の特性解析、細菌、真菌、ウイルス等の混入の否定等)と各項目の判定基準を設定すること。表現型、遺伝形質、特有の機能等の特性、細胞生存率及び品質に影響を及ぼさない範囲で、必要かつ可能な場合は、細菌、真菌、ウイルス等の検査を行うこと。結果が陽性の場合には、iPS(様)細胞株のストック及びその輸送における汚染の有無を確認した上で、改めて iPS(様)細胞株を入手する。
なお、技術的な理由により、工程を一部進めた上で検査を行うことが適切な場合にあっては、受入れ後の適切な時点で検査を実施すること。例えば、凍結ヒト(同種)iPS(様)細胞株を原材料製造時の試験検査結果(Certificate of Analysis)を基に受け入れた後、解凍して拡大培養を実施する際に追加の検査を行うことが挙げられる。治験を開始する前段階の場合は、それまでに得られた試験検体での実測値を提示し、これらを踏まえた暫定値を示すこと。
b) 細胞のバンク化
製造所に受け入れた iPS (様)細胞株からのセル・バンクを作製する方法及びセル・バンクの特性解析、保存・維持・管理方法・更新方法その他の各作業工程及び試験に関する手順等について詳細を明らかにし、その妥当性を示すこと。 ICH Q5D 等を参考とすること。ただし、より上流の過程で評価されていることに起因する正当な理由により検討事項の一部を省略することは差し支えない。
c) 最終製品の構成要素となる細胞の作製
原料等となる製造所に受け入れた iPS (様)細胞株及びそのセル・バンクから最終製品の構成要素となる細胞を作製する方法(分化誘導方法、目的とする細胞の分離・培養の方法、培養の各段階での培地、培養条件、培養期間、収率等)を明確にし、可能な範囲でその妥当性を明らかにすること。また、最終製品が凍結製品である場合、細胞凍結方法とその凍結細胞から移植用細胞投与液を作製する方法(細胞解凍法、最終投与液調整法等)を明らかにし、同様に可能な範囲でその妥当性を明らかにすること。
d) 製造工程中の取り違え及びクロスコンタミネーション防止対策
iPS(様)細胞由来の神経前駆細胞及び他の神経系分化細胞 (最終製品)の製造にあたっては、製造工程中の取違え及びクロスコンタミネーションの防止が重要であり、工程管理における防止対策を明らかにすること。
e) 細胞増殖度の監視
神経前駆細胞は分裂回数の増加に伴って、染色体並びにゲノム不安定性が発生する可能性が示唆されている。よって最終製品に至るまでの製造工程においては、過度の継代及び細胞分裂を避け、細胞品質に影響を及ぼさない適切な範囲内で細胞増殖度を管理することが望まれ、そのための対策を明らかにすること。

(3) 製品の品質管理
品質規格の値の設定について、治験を開始する前段階の場合にあっては、それまでに得られた試験検体での実測値を提示し、これらを踏まえた暫定値を示すこと。なお、出荷製品そのもの又はその一部に対して規格試験の実施が技術的に困難である場合にあっては、妥当性を示した上で並行して製造した製品を用いて規格試験を実施すること。
iPS(様)細胞から作られる神経前駆細胞及び他の神経系分化細胞 (最終製品)の移植方法を明らかにすること。 移植方法には、例えば iPS(様)細胞から製造される神経前駆細胞及び他の神経系分化細胞 (最終製品)を、単離細胞の状態で、又は細胞凝集塊(neurosphere 構造)の状態等で、必要数だけ、脊髄の損傷部位又はその周辺部の神経組織内に直接移植することが考えられる。
a) 細胞形態の確認
最終製品の細胞形態に関して、浮遊培養法を用いた製造においては、多くの場合、表面が円滑で色調は半透明~淡白色の細胞凝集塊(neurosphere 構造)を形成する。この形態、大きさに関して、目視確認を行い、その記録を保管することが望ましい。必要に応じて形態及び大きさに基準を定めることも考慮される。培養フラスコ等を用いた単層培養法による製造においては、あらかじめ確認されている目的とする細胞形態を有することを目視確認し、その記録を保管することが望ましい。
b) 細胞数及び生存率
最終製品における細胞の数及び生存率についても基準を設定する必要がある。細胞数を測定する方法としては、最終製品の一部を酵素処理して細胞懸濁液とし、血球計算盤やセルカウンターで測定する方法がある。細胞生存率を測定する方法として、トリパンブルーを用いた色素排除法があり、生細胞及び死細胞を計数することができる。また、 DAPI や Acridine Orange 等で蛍光染色された細胞を測定する方法も使用することができる。
なお、細胞凝集塊(neurosphere 構造)を形成する細胞数 及び生存率を測定することが術的に困難である場合にあっては、細胞凝集塊(neurosphere 構造)に含まれる細胞数及び生存率を裏付ける代替指標を用いてよい。ただし、その指標の妥当性について明らかにすること。
c) 細胞特異性の確認
最終製品が神経前駆細胞の場合は、mRNA 発現解析において、神経前駆細胞マーカー遺伝子(SOX1,PAX6, NES 等)の相対的発現量を明らかにすること。タンパク質レベルでの発現定量は、免疫細胞染色法、フローサイトメトリー等を用いて SOX1、PSANCAM 等の発現量を明らかにすること。これら解析の中から、複数の異なる手法を用いて神経前駆細胞としての特異性とその細胞数を評価することが望ましい。
最終製品がその他の神経系細胞である場合は、その特異性を代表する神経細胞、グリア細胞、あるいはその他の前駆細胞等のマーカー分子に関して、mRNA 発現解析、免疫細胞染色法、フローサイトメトリー等を用いて発現量を評価することが考えられる。また、これら解析の中から、複数の異なる手法を用いて神経系分化細胞等としての特異性とその細胞数を評価することが望ましい。
d) 未分化細胞が混在していないことの確認
未分化細胞の混在については、定量 PCR によるマーカー遺伝子の定量(POU5F1 [OCT3/4]、NANOG等の遺伝子発現量の評価)、免疫細胞染色、フローサイトメトリー等を用いた未分化細胞マーカー抗原(POU5F1[OCT3/4]、TRA1-60 抗体認識抗原、 SSEA-3 抗体認識抗原等)の発現定量等による評価などが考えられる。また、最終製品を原料等の iPS (様)細胞の培養条件で一定期間培養する戻し培養法等も挙げられる。これら解析の中から、複数の異なる手法を用いて未分化細胞の混在を評価することが望ましい。
なお、未分化の iPS (様)細胞の混在と造腫瘍性については、必ずしも一致しないものであり、造腫瘍性試験に関しては非臨床試験の項目を参照すること。
e)染色体並びにゲノム構造評価
最終製品の染色体並びにゲノム構造を評価することが求められる。染色体構造は、ギムザ染色法及び G バンド分染法等を用いて、染色体核型構造の評価を行うことが望ましい。また、マイクロアレイ法等を用いて、全ゲノムレベルでのゲノム構造の評価を行う手法も使用することもできる。
f)機能評価
治療用途に整合性のある細胞としての機能特性を有することを製造工程中又は最終製品で確認する。 例えば、最終製品が神経前駆細胞の場合は、各種神経系細胞に分化する能力を有することを確認するため、in vitroで一定期間、神経前駆細胞の分化誘導を促進する条件で培養を行った後、神経細胞(TUBB3 [tubulin beta 3 class III] 等)及びグリア細胞(GFAP 等)のマーカー発現を免疫細胞染色法等で評価することが考えられる。
また、分化誘導した神経細胞数の定量的評価としては、抗 HuC/D 抗体(抗原:ELAVL3/4)、抗 NeuN 抗体(抗原:RBFOX3)を用いた染色等の方法が使用可能である。
最終製品がその他の神経系細胞である場合は、あらかじめその効能効果と関連性があることが推定される神経細胞、グリア細胞、あるいはその他の前駆細胞等のマーカー分子に関して、mRNA 発現解析、免疫細胞染色法、フローサイトメトリー等を用いて発現量を評価することが考えられる。細胞に由来する液性因子等が最終製品の効能効果と関連すると推定される場合は、その分泌量を評価することが可能である。

(4) 製品の安定性試験最終製品又は重要なそれらの中間製品について、保存・流通期間及び保存形態を十分考慮して、細胞の生存率及び効能を裏付ける代替指標等を指標に実保存条件での安定性試験を実施し、貯法及び有効期限を設定し、その妥当性を明らかにすること。特に凍結保管及び解凍を行う場合には、凍結及び解凍操作が製品の解凍後の培養可能期間や品質へ与える影響を確認すること。また、必要に応じて標準的な製造期間を超える場合や標準的な保存期間を超える長期保存についても検討し、安定性の限界を可能な範囲で確認すること。ただし、製造終了後直ちに使用するような場合はこの限りではない。
また、出発原料、中間製品及び最終製品を運搬する場合には、それぞれの条件と手順(容器、輸送液、温度管理等を含む)等を定め、その妥当性について明らかにすること。細胞を凍結状態で輸送する場合には、凍結時に使用する培地又は凍結保存液、凍結保護剤等について、製造工程で使用する材料と同様に適切に選択すること。また、非凍結状態で輸送する場合の輸送液等も同様である。製品形態又は細胞種によって、製品安定性を保つための適切な保存形態、温度条件、輸送液等が異なる可能性があるため、製品毎に適切な組み合わせを検討し、安定性を担保する必要がある。

(5) 非細胞材料及び最終製品の生体適合性
製品に関係する非細胞材料については、製造工程中で細胞と接触する材料だけでなく、細胞とともに最終製品の一部を構成する副成分となるものや、副構成体等として適用時に併用されるもの(局所封入用の膜、フィブリン糊等)に関しても、材料自体の品質・安全性に関する知見について明らかにするとともに、生体適合性等、患者及び製品中の細胞との相互作用に関する知見について明らかにすること。また、最終製品総体についても患者の細胞組織、特に適用部位周辺組織との相互作用について評価すること。また、最終製品の副成分となる非細胞材料の、製造工程中(培地中)及び体内での分解特性、体内での再吸収特性、分解物の安全性に関して適切な情報を収集すること。特に、生体吸収性材料を用いる場合には、分解生成物に関して必要な試験を実施すること。非細胞材料の生体適合性については、ISO10993-1、JIS T 0993-1 又は ASTM F748-04、医療機器の製造販売承認申請等に必要な生物学的安全性評価の基本的考え方について(平成 24 年 3 月 1 日付け薬食機発 0301 第 20 号)等を参考にすること。

(6) 非臨床試験
①非臨床安全性評価のための造腫瘍性試験
iPS(様)細胞を加工して製造される再生医療等製品の造腫瘍性を評価する上では、「原料等となる iPS(様)細胞の造腫瘍性と最終製品の造腫瘍性との相関・因果関係は未解明である」という点に注意が必要である。すなわち、臨床適用に際しては、原料等となる iPS (様)細胞ではなくあくまで最終製品としての iPS(様)細胞加工製品の造腫瘍性評価が最も重要であることを常に留意しなければならない。したがって、造腫瘍性試験については最終製品を用い、免疫不全動物を利用した検出限界が既知の試験系を用いて評価を行うことが有用である。尚、造腫瘍性試験を実施するにあたっては、「ヒト細胞加工製品の未分化多能性幹細胞・形質転換細胞検出試験、造腫瘍性試験及び遺伝的安定性評価に関するガイドラインについて」(令和元年 6 月 27 日付け薬生機審発 0627 第 1 号厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長通知)等も参考にすること。
非臨床安全性評価のための造腫瘍性試験に使用する動物種としては、高感度な特性から、免疫不全動物(NOG マウス、NSG マウス等)移植にて評価することが望ましい。iPS (様)細胞のセル・バンクを樹立する場合には、原則として当該セル・バンクから製造された最終製品を用いて造腫瘍性試験を行う必要がある。当該セル・バンク以外から製造された最終製品を用いた造腫瘍性試験結果を用いる場合には、その妥当性を説明すること。
脊髄内(臨床投与経路)移植については、小動物では手術侵襲が大きく、手術手技により結果判定が困難となる可能性があることに留意する。この際の移植細胞数としては、想定される臨床使用量に種差と個体差の安全係数を掛けた量であることが望ましいが、動物に移植した際に、移植細胞の総容量自体が投与部位の微小環境に大きな影響を与え、アーチファクトとなってしまう可能性を十分考慮する必要がある。すなわち、脊髄内移植による造腫瘍性試験の目的は、最終製品の細胞がヒトでの移植部位に相当する微小環境で造腫瘍性を示すかどうかの確認にあることに留意しながら投与細胞数を設定することが重要である。より高容量の移植細胞の造腫瘍性を脊髄内移植に近い微小環境で評価する代替法としては、免疫不全動物の頭蓋内(脳内)に移植する手法が考慮される。この場合、脊髄と脳組織との微小環境の差異を考慮して、その試験結果を解釈することが重要である。
HLA タイピング等の後に同じ方法で樹立され、最終製品の原料等として同等の品質特性を持つことが確認された複数の iPS(様)細胞セル・バンクから、同一の製造方法により同等の品質特性を持つ神経前駆細胞及び他の神経系分化細胞 (最終製品)を製造する場合であっても、原則的には各セル・バンクから製造された最終製品について、ヒトでの移植部位に相当する微小環境で造腫瘍性を示すかどうかを評価する必要がある。免疫不全動物の脊髄あるいは脳内への移植による最終製品の造腫瘍性試験は、その代表的な方法として挙げられる。
②最終製品の効力又は性能を裏付ける試験
技術的に可能かつ科学的に合理性のある範囲で、対象疾患に対し適切なモデル動物等を用いて、最終製品の機能発現、作用持続性、ヒト(同種)iPS(様)細胞加工製品として期待される臨床効果の実現可能性(Proof-of-Concept, POC)を示すこと。モデル動物としては、マウス、ラット、サルの脊髄損傷を作製したものが挙げられる。ラットやサルのモデル動物にヒト iPS(様)細胞由来神経前駆細胞及び他の神経系分化細胞 (最終製品)を移植する場合は異種移植となり、免疫抑制剤を投与する必要があるが、免疫抑制の効果期間は限られており、短期の観察に限られることに留意すること。治療効果の評価方法には行動学的評価を行うことが考えられるが、妥当性については検討を行うこと。HLA タイピング等の後に同じ方法で樹立され、最終製品の原料として同等の品質特性を持つことが確認された複数の iPS(様)細胞のセル・バンクから同等の品質特性を持つ神経前駆細胞及び他の神経系分化細胞 (最終製品)を製造する場合には、代表的な株から製造された最終製品について、POC を示すことで良い。
③その他
移植時の手技的な安全性の確認、その手技を用いての移植後の局所における短期間での反応等、臨床応用において必要かつ科学的に妥当と考えられる項目については、目的に応じて例えば中型又は大型動物を利用することにより確認を行うことが望ましい。

(7)臨床試験(治験)
1. 対象集団
臨床試験においては、有効性及び安全性評価に適した集団を選択するために、普及した診断基準、重症度分類等を用いて選択・除外基準を設定する必要がある。脊髄損傷は損傷高位・重症度により症状が多彩であることから、有効性評価に適した集団を絞り込むための選択・除外基準の設定に際し、移植細胞の特性や試験の目的に応じて、重症度や損傷高位をある程度限定することが適切な場合がある。しかしながら、臨床試験で除外された重症度や損傷高位に対して使用した際の有効性及び安全性について、臨床試験で得られた成績の一般化への可能性の検討や、追加の臨床試験等による情報収集を検討する必要があり、独立行政法人医薬品医療機器総合機構と事前に協議することが勧められる。
1.1. 組入れにおける選択基準
1.1.1. 試験治療の介入時期について
脊髄損傷に対する臨床試験の場合には、受傷後のどの時点で治療介入を行うのかを検討する必要がある。受傷後早期であるほど脊髄ショックの影響もあり神経症状が不安定であるため 1)、受傷後早期では、麻痺の重症度や神経症状に関しての適切な評価が難しく、結果として有効性の評価が困難となってしまう可能性がある 1,2)。受傷の数日後には神経症状はやや安定するとされているため 1)、被験者の神経症状をより詳細に評価できる。受傷後数ヶ月以降経過した慢性期では脊髄内の空洞形成・瘢痕形成等により再生治療の効果が減弱することも報告されており 3)、適切な介入時期については、移植細胞の特性や試験の目的に応じて、個別に検討すべきである。
1.1.2. 対象患者の損傷高位について脊髄損傷では受傷時の損傷高位により改善の程度が異なるため、適切な有効性評価を行うために、対象患者の損傷高位を限定することも検討すべきである 4)。
また、胸髄損傷は頚髄損傷と比較して完全麻痺の割合が高いという損傷程度の違いがある 5)。胸髄損傷では麻痺の回復により神経学的損傷高位が低下しても運動麻痺は不変(神経学的損傷高位の下降が American Spinal Injury Association(ASIA)運動スコア等の神経学的評価と相関しないことをいう)となるため、ASIA 運動スコアが必ずしも麻痺の回復を反映しない。これに対して、頚髄損傷では神経学的損傷高位の僅かな下降も運動麻痺の改善として鋭敏に捉えることが可能である。以上から、臨床試験の開始前に頚髄損傷患者と胸髄損傷患者を同一の臨床試験で評価する場合には、主要評価項目の選択について慎重に検討すべきであり、統一した主要評価項目を設定することが困難である場合には、それぞれの患者毎に臨床試験を実施することを考慮すべきである。
安全性の観点から、頚髄損傷のなかでも上位頚髄では重篤な呼吸麻痺を生じ得るため、呼吸麻痺を生じた症例を対象集団に組入れるかどうか事前に検討する必要がある。
1.1.3. 対象患者の重症度について
脊髄損傷では受傷時の重症度により改善の程度が異なる可能性があるため、臨床試験において適切な患者選択を行う上で、普及した重症度分類を選択基準として規定することは重要である。細胞移植療法では、完全麻痺や重度の不完全麻痺などの比較的重症者を対象とすることが想定される。対象患者の重症度による選択基準設定については移植細胞の作用機序・試験の目的等に応じて検討が必要である。
1.2. 組入れにおける除外基準
除外基準の設定の際には、脊髄損傷の予後に影響を与える可能性がある手術施行の有無、ステロイド療法その他の薬剤等の因子について検討することが重要である。手術施行が脊髄損傷による麻痺の予後に与える影響については、早期の手術が麻痺を改善させたという報告 6) がある一方、手術の有無は麻痺の予後と関係ないという報告もあり 7,8)、コンセンサスが得られていない。ただし、脱臼に関しては早期の整復が良いとされている 9)。手術施行が有効性及び安全性の評価に与える影響については、現時点では不明であるため、手術施行の有無を除外基準として設定あるいは割付因子とするなどの扱いについては、個々の臨床試験の計画段階で検討する必要がある。また、ステロイドや移植細胞の挙動に影響を及ぼす可能性のある薬剤を投与された患者等の組入れについては有効性及び安全性評価に影響を与えうる因子のひとつとして、計画段階で個別の検討が必要である。
1.3. 高齢者・若年者について
脊髄損傷は、高齢者(65 歳以上)に多く認められるため、「「高齢者に使用される医薬品の臨床評価法に関するガイドライン」について」(平成 5 年 12 月 2 日付け薬新薬第 104 号厚生省薬務局新医薬品課長通知)及び「「高齢者に使用される医薬品の臨床評価法に関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)について」(平成 22 年 9 月 17 日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡)を踏まえた有効性及び安全性の検討が必要となる。脊髄損傷後の回復が高齢者では有意に劣るとする報告があるため 10,11,12,13)、高齢・非高齢を割付因子にする、又はサブ解析を行うなどの方法を行うことを臨床試験の開始前に定め、高齢者・非高齢者をそれぞれ別個に評価できるよう考慮する必要がある。
また、高齢者・小児の組入れについても考慮する必要がある。
2. 症例数の設定
被験者数は、統計学的な考察に基づき、試験目的、検証すべき仮説及び試験デザインに応じて設定する。
3. 有効性評価
一般的に主要な有効性評価は、信頼性及び妥当性が検討され国際的に普及した評価尺度を用いることが必要であり、評価時における評価尺度のベースラインからの変化や改善症例の割合等を評価に用いる。副次的な有効性評価は、主要評価項目で得られた結果の妥当性を検討するだけでなく、得られた結果の臨床的意義を検討するために有用である 14)。
評価者間で統一した評価を行い、評価者間のばらつきを最小限とすることができるよう、評価者に対する教育訓練等の方策を十分に検討する必要がある。特に、国際共同試験においては実施地域により評価方法が異なることがないよう配慮する必要がある。また臨床試験開始前には評価者の適格性についても評価することが必要である。
3.1. 主要評価項目
脊髄損傷治療における真の目的は、神経学的改善にとどまらず、機能予後及び Activity
of Daily Living(ADL)を含む QOL の改善にある 15)。しかし、現時点では脊髄損傷治療による QOL の改善を客観的に評価することは困難であり、また脊髄損傷において現時点では QOL との関連性が確実に立証されている神経学的な評価法は存在しない。
このため、これまでに実施された臨床試験では、ASIA スコア(運動スコア、感覚スコア:特に胸髄損傷においては神経学的損傷高位を特定するために重要)、ASIA Impairment Scale(AIS)又は Frankel 分類等の神経学的評価法が有効性の評価項目として設定されることが一般的であった 9, 10)。ASIA スコアは神経症状の詳細を比較的再現性良く評価できるものの 16)、日常動作における機能を直接示していない。一方、AIS 及び Frankel 分類は麻痺の概略を簡便に把握しうるため、臨床上は有用であり頻用されるものの、実際の ADL を必ずしも反映しないとの報告があり 17)、AIS が改善したにもかかわらず ASIA スコアは悪化するという逆転現象も起こり得る 18)。評価時期の設定については、前相試験の結果等を参考にし、移植細胞の作用機序や試験実施可能性等を勘案して検討する必要がある。評価は最終評価時点だけではなく、経時的推移を確認できるように、適切な頻度で実施することが望ましい。
また、主要評価項目を神経学的評価法にする場合においても、頚髄損傷と胸髄損傷では異なる可能性が想定される。頚髄損傷では ASIA 運動スコアで改善・悪化とも詳細に評価しうるので、主要評価項目としては従来通り ASIA 運動スコアの改善が代表的と言える。一方、胸髄損傷では麻痺が改善し神経学的障害レベルが下降しても下肢運動機能には変化がなく運動機能の改善としては捉えられないので、ASIA 感覚スコアの評価により神経学的障害レベル下降を捉えることも検討すべきである。したがって頚髄損傷・胸髄損傷が混在する集団での試験では、主要評価項目の選択について慎重に検討すべきであり、統一した主要評価項目を設定することが困難である場合には、それぞれの患者毎に臨床試験を実施することを考慮すべきである。
3.2. 副次評価項目
副次評価項目は、主要評価項目を補足するための有効性に関する評価項目を設定する。
また、主要評価項目として ASIA スコア等の神経学的評価を設定した試験においては、機能予後に関する評価を設定する必要がある。
副次評価項目としては、AIS が 1 段階以上改善した被験者の割合等の反応例の割合や Neurological Level of Injury(NLI)などの神経学的評価法及び ADL 評価法(例えば脊髄損傷特異的な ADL 評価法である Spinal Cord Independence Measure(SCIM)など)や包括的 QOL 評価指標(例えば Euro-QoL 5-dimension(EQ5D)や MOS 36-Item Short-Form Health Survey (SF-36)など)等の ADL/QOL 評価の設定を検討すべきである。
主要評価項目として ASIA スコア等の神経学的評価法を設定した場合、機能予後に関する評価、ADL/QOL 評価等を副次評価項目とするか検討の必要がある 14)。近年では、脊髄損傷患者における ADL 評価として、SCIM が推奨されている 16)。また、頚髄損傷においては NLI の下降は SCIM セルフケア項目との相関があると報告されている 19)。一方、SCIM の評価項目の一部は頚髄損傷に特異的であり胸髄損傷には該当しないため、副次的評価項目においてもそれぞれの患者毎に評価可能なよう考慮すべきである。
脊髄損傷では膀胱直腸障害をきたし、これらの症状も被験者の ADL/QOL を著しく損なう場合があるので、膀胱直腸障害についても、SCIM の下位項目等、適切な評価指標を用いて評価することを検討すべきである。脊髄障害性疼痛も患者の ADL/QOL を著しく損なう可能性のある病態であり、評価項目に加えることを検討すべきである。
脊髄損傷治療の客観的評価指標として画像及び電気生理学的検査がある。脊髄損傷治療後の画像評価として脊髄単純 MRI は、移植細胞の生着、腫瘍化の有無や腫瘍化に伴う脊柱管狭窄の確認などのために推奨される。脊髄損傷治療の効果判定において造影 MRI の有用性は明らかでないが、細胞移植後脊髄の状態を、腫瘍形成を含め詳細に評価するためには、造影 MRI も検討するとよい。さらに近年報告のある拡散テンソル画像(DTI)なども脊髄再生評価の指標として検討することが望ましい。
脊髄損傷治療後の機能評価として電気生理学的検査(中枢神経磁気刺激による誘発筋電図など)も推奨され、できる限り客観的指標を得ることが望ましい。
4. 安全性評価
有害事象とは、医薬品等(再生医療等製品を含む。以下この項において同じ。)を投与された患者又は被験者に生じたあらゆる好ましくない医療上のできごとであり、当該製品の投与との因果関係の有無は問わない。つまり、医薬品等が投与された際に起こる、あらゆる好ましくない、又は意図しない徴候(臨床検査値の異常を含む)、症状又は病気のことである。有害事象が認められた場合は、症例報告書に事象名、重症度、転帰、発現及び転帰が確認された時期、治験薬の服薬状況並びに処置の有無及びその内容等を記録するとともに、重篤な有害事象か否か、及び治験薬との因果関係を判定する。
また、Council for International Organizations of Medical Science(CIOMS) VI Working Group では、症例報告書への有害事象名の記載を個々の症状・徴候ではなく、可能な限り診断名とすることが提言されている 20)。また、Medical Dictionary for Regulatory Activities Terminology(MedDRA)の Point to Consider においても、有害事象の報告方法について、診断名が症状・徴候を包含しているのであれば、情報の喪失には当たらないと書かれている 21)。ただし、注目すべき特定の症状・徴候が存在する等、有害事象名としての診断名とは別に、個々の症状名・徴候名を収集し評価することが重要な場合があることに留意すべきである。詳細は、「治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン」(平成 8 年 5 月 1 日付け薬審第 335 号厚生省薬務局審査課長通知)及び「「治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)」(平成 24 年 10 月 18 日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡)を参照されたい。
臨床試験では、以下のような細胞移植に特徴的な有害事象・脊髄損傷の病態に関連する有害事象についてとくに注目して収集すべきである。

重要な有害事象
① 腫瘍化
② 感染
③ 拒絶反応
④ 移植手技に伴う有害事象(出血・空洞形成等)
⑤ 脊髄空洞症
⑥ 免疫抑制剤投与に伴う有害事象
⑦ 麻痺の悪化
⑧ 肺炎
⑨ 呼吸不全
⑩ 深部静脈血栓症/肺梗塞
⑪ 薬剤性過敏症症候群
⑫ 尿路感染症
⑬ 褥瘡
⑭ 関節拘縮
⑮ 脊髄障害性疼痛
⑯ 消化管潰瘍
⑰ 脳梗塞
5. 併用禁止薬及び併用禁止療法並びにリハビリテーションの扱いについて
5.1. 併用禁止薬
有効性評価に影響を与える可能性のある薬剤については、事前に倫理的・臨床的に問題がないかを検討した上で、可能な限り併用禁止とすべきである。倫理的・臨床的に問題があり併用禁止薬に設定できない薬剤についても、試験期間中は用法・用量(頓用の場合は使用頻度)を変更しないよう規定する必要がある。
5.2. リハビリテーションの扱いについて
リハビリテーションは脊髄損傷後の機能回復に影響を与える要因であり、臨床試験においては症例ごとのリハビリテーション実施の差異が有効性評価に与える影響を考慮すべきである。しかし、同時に治療介入後のリハビリテーションは標準的内容に限定することなく検討すべきでもある。特に、運動完全麻痺の領域を有する症例や、実用的機能獲得が難しいと予想される四肢・体幹機能への積極的なリハビリテーションは現状で標準的に実施されているとは言えないが、こうした過去の報告において回復困難とされてきた機能の改善を目的とした再生医療を実施する場合は、目的に即したリハビリテーションを選定することが妥当である。その際、先進的なリハビリテーション技術としての機器(ロボット、機能的電気刺激等)や刺激療法(磁気刺激、電気刺激等)も検討することが望ましい。ただし、こうしたリハビリテーションのみでも改善が期待できる症状(不全麻痺領域など)への治療効果検証を臨床試験のエンドポイントとする場合は、適切な対照群を設定することが必要である。対照群としては、ヒストリカル・コントロールが許容される場合があるかもしれない。また、各症例に実施するリハビリテーションの内容を統一することが困難であることを考慮し、実際に個々の症例に対して実施したリハビリテーションの内容・時間を記録することにより後方視的に比較できるよう工夫することが必要である。

6. 用語・略語

GL:付属資料

6.参考文献
1) Krishna V, Andrews H, Varma A, Mintzer J, Kindy MS, Guest J. Spinal cord injury: how can we improve the classification and quantification of its severity and prognosis? J Neurotrauma. 31(3):215-227, 2014.
2) Fawcett JW, Curt A, Steeves JD, Coleman WP, Tuszynski MH, et al. Guidelines for the conduct of clinical trials for spinal cord injury as developed by the ICCP panel: spontaneous recovery after spinal cord injury and statistical power needed for therapeutic clinical trials. Spinal Cord.
45(3):190-205, 2007.
3) Tran AP, Warren PM, Silver J. The biology of regeneration failure and success after spinal cord
injury. Physiol Rev 98(2):881-917, 2018.
4) Tuszynski MH, Steeves JD, Fawcett JW, Lammertse D, Kalichman M, et al. Guidelines for the conduct of clinical trials for spinal cord injury as developed by the ICCP Panel: clinical trial inclusion/exclusion criteria and ethics. Spinal Cord. 5(3):222-31, 2007.
5) Bransford RJ, Chapman JR, Skelly AC, VanAlstyne EM. What do we currently know about
thoracic spinal cord injury recovery and outcomes? A systematic review. J Neurosurg Spine 17(1 Suppl):52-64, 2012.
6) Fehlings MG, Vaccaro A, Wilson JR, Singh A, Cadotte DW, et al. Early versus delayed
decompression for traumatic cervical spinal cord injury: Results of the surgical timing in acute spinal cord injury study (STASCIS). PLoS ONE 7(2), 2012.
7) Kawano O, Ueta T, Shiba K, Iwamoto Y. Outcome of decompression surgery for cervical spinal cord injury without bone and disc injury in patients with spinal cord compression: a multicenter prospective study. Spinal Cord. 48: 548553, 2010.
8) Mazaki T, Ito Y, Sugimoto Y, Koshimune K, Tanaka M, Ozaki T. Does laminoplasty really improve neurological status in patients with cervical spinal cord injury without bone and disc injury? A prospective study about neurological recovery and early complications. Arch Orthop Trauma Surg. 133:1401-1405, 2013.
9) Newton D, England M, Doll H, Gardner BP. The case of early treatment of dislocations of the cervical spine with cord involvement sustained playing rugby. J Bone Joint Surg Br; 93-B:1646– 52, 2011.
10) Wilson JJ, Cadotte DW, Fehlings MG. Clinical predictors of neurological outcome,
functional status, and survival after traumatic spinal cord injury: a systematic review. J Neurosurg
Spine (1 Supp) 17:11–26, 2012.
11) Burns SP, Golding DG, Rolle WA Jr, Graziani V, Ditunno JF Jr. Recovery of ambulation in motor-incomplete tetraplegia. Arch Phys Med Rehabil 78: 1169-1172, 1997.
12) Furlan JC, Fehlings MG: The impact of age on mortality, impairment, and disability among adults with acute traumatic spinal cord injury. J Neurotrauma 26:1707-1717, 2009.
13) van Middendorp JJ, Hosman AJ, Donders AR, Pouw MH, Ditunno JF Jr., Curt A, et al. A clinical prediction rule for ambulation outcomes after traumatic spinal cord injury: a longitudinal cohort study. Lancet 377: 1004–1010, 2011.
14) Lammertse D, Tuszynski MH, Steeves JD, Curt A, Fawcett JW, et al. Guidelines for the
conduct of clinical trials for spinal cord injury as developed by the ICCP panel: clinical trial design.
Spinal Cord.45(3):232-242, 2007.
15) Steeves JD, Lammertse D, Curt A, Fawcett JW, Tuszynski MH, et al. Guidelines for the
conduct of clinical trials for spinal cord injury (SCI) as developed by the ICCP panel: clinical trial outcome measures. Spinal Cord. 45(3):206-21, 2007.
16) Hadley MN, Walters BC, Aarabi BZ, Dhall SS, Gelb DE, et al. Clinical assessment
following acute cervical spinal cord injury. Neurosurgery 72: 40-53, 2013.
17) van Middendorp J J, Hosman AJ, Pouw MH, EM-SCI Study Group, and Van de Meent, H. ASIA impairment scale conversion in traumatic SCI: is it related with the ability to walk? A descriptive comparison with functional ambulation outcome measures in 273 patients. Spinal
Cord 47: 555–560, 2009
18) Gündoğdu Í, Akyüz M, Öztürk EA, Çakclí FA. Can spinal cord injury patients show a worsening in ASIA impairment scale classification despite actually having neurological improvement? The limitation of ASlA Impairment Scale Classification. Spinal Cord 52: 667-670, 2014.
19) Kramer JL, Lammertse DP, Schubert M, Curt A, Steeves JD. Relationship Between Motor Recovery and Independence After Sensorimotor-Complete Cervical Spinal Cord Injury.
Neurorehabil Neural Repair 26: 1064-71, 2012.
20) Management of Safety Information from Clinical Trials : Report of CIOMS Working
Group VI, 2005
21) MedDRA® TERM SELECTION: POINTS TO CONSIDER, 2013

引用関連規格

国内関連GL

海外関連GL

WG開始年月

WG終了年月

WGメンバー

平成30年度

座長 松山幸弘   浜松医科大学 整形外科学教室 教授

委員(五十音順)
安達伸生   広島大学大学院医歯薬保健学研究科 整形外科学 教授
今釜史郎   名古屋大学大学院医学系研究科 整形外科学 講師
梅澤明弘   国立成育医療研究センター 研究所 副所長
緒方 徹   国立小学者リハビリテーションセンター病院 
       障害者健康増進・運動医科学支援センター センター長
國府田正雄  筑波大学医学医療系 整形外科 准教授
佐藤正人   東海大学医学部 外科学系整形外科学 教授
中畑龍俊   京都大学iPS細胞研究所(CiRA) 顧問
波呂浩孝   山梨大学医学部 整形外科 教授
渡辺雅彦   東海大学医学部 外科学系整形外科学 主任教授

厚生労働省
稲角嘉彦   厚生労働省 医薬・生活衛生局 医療機器審査管理課 課長補佐
黒岩健二   厚生労働省 医薬・生活衛生局 医療機器審査管理課 医療機器指導官
野口 創   厚生労働省 医薬・生活衛生局 医療機器審査管理課 

独立行政法人医薬品医療機器総合機構
河西正樹   医薬品医療機器総合機構 再生医療製品等審査部 審査専門員
國枝章義   医薬品医療機器総合機構 再生医療製品等審査部 審査専門員
大澤智子   医薬品医療機器総合機構 規格基準部 部長
水上良明   医薬品医療機器総合機構 規格基準部医療機基準課 課長
遠藤 健   医薬品医療機器総合機構 規格基準部医療機基準課 主任専門員

国立医薬品食品衛生研究所(事務局)
佐藤陽治   国立医薬品食品衛生研究所 再生・細胞医療製品部 部長
澤田留美   国立医薬品食品衛生研究所 再生・細胞医療製品部 第二室 室長
河野 健   国立医薬品食品衛生研究所 再生・細胞医療製品部 第四室 室長

令和元年度

座長 松山幸弘   浜松医科大学 整形外科学教室 教授

委員(五十音順)
安達伸生   広島大学大学院医歯薬保健学研究科 整形外科学 教授
今釜史郎   名古屋大学大学院医学系研究科 整形外科学 准教授
梅澤明弘   国立成育医療研究センター 研究所 副所長
緒方 徹   国立小学者リハビリテーションセンター病院 
       障害者健康増進・運動医科学支援センター センター長
金村米博   国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センター先進医療研究開発部 部長
國府田正雄  筑波大学医学医療系 整形外科 准教授
佐藤正人   東海大学医学部 外科学系整形外科学 教授
中畑龍俊   京都大学iPS細胞研究所(CiRA) 顧問
波呂浩孝   山梨大学医学部 整形外科 教授
渡辺雅彦   東海大学医学部 外科学系整形外科学 主任教授

厚生労働省
鉄橋正士   厚生労働省 医薬・生活衛生局医療機器審査管理課/再生医療等製品審査管理室  課長補佐
江田美沙子  厚生労働省 医薬・生活衛生局医療機器審査管理課/再生医療等製品審査管理室  課長補佐
福澤 学   厚生労働省 医薬・生活衛生局医療機器審査管理課/再生医療等製品審査管理室  主査

独立行政法人医薬品医療機器総合機構
河西正樹   医薬品医療機器総合機構 再生医療製品等審査部 主任専門員
國枝章義   医薬品医療機器総合機構 再生医療製品等審査部 審査専門員
小野寺陽一  医薬品医療機器総合機構 医療機器調査・基準部 部長
水上良明   医薬品医療機器総合機構 医療機器調査・基準部医療機器基準課 課長
遠藤 健   医薬品医療機器総合機構 医療機器調査・基準部医療機器基準課 主任専門員

オブザーバー
伊藤弓弦   産業技術総合研究所 創薬基盤研究部門 幹細胞工学研究グループ 研究グループ長
廣瀬志弘   産業技術総合研究所 創薬基盤研究部門 生体材料研究グループ 上級主任研究員

国立医薬品食品衛生研究所(事務局)
佐藤陽治   国立医薬品食品衛生研究所 再生・細胞医療製品部 部長
澤田留美   国立医薬品食品衛生研究所 再生・細胞医療製品部 第二室 室長
河野 健   国立医薬品食品衛生研究所 再生・細胞医療製品部 第四室 室長

報告書(PDF)

平成30年度
2021-HN-RE-038-H30-報告書

令和元年度
2021-HN-RE-038-R1-報告書

報告書要旨(最新年)

承認済み製品(日本)

承認済み製品(海外)

製品開発状況

Horizon Scanning Report