遺伝子発現解析用DNAチップ[改訂版] 開発ガイドライン 2012

ガイドラインID 2012-E-DI-021
発出年月日
発出番号
WG名 テーラーメイド医療用診断機器分野 遺伝子発現解析用 DNA チップ開発 WG
制度名 医療機器等開発ガイドライン策定事業(開発ガイドライン)
製品区分 医療機器
分野

テーラーメード医療用診断機器

GL日本語版ファイル

2012-E-DI-021 遺伝子発現解析用DNAチップ 改訂版 開発ガイドライン 2012

英文タイトル
GL英語版ファイル

GL:イントロ・スコープ

1.概要
1.1 遺伝子発現解析用 DNA チップ
DNA チップは、基板の上に特定の塩基配列を持った DNA を高密度に配置し、固定したものである。この DNA をプローブとして、検体標品を精製・標識など前処理したものに対して反応させ、その反応物をレーザー光や電気的・化学的検出法によって高感度に検出する。これによって多数の遺伝子や多型 DNA について網羅的な解析を可能にするものである。遺伝子発現解析用 DNA チップは遺伝子発現をもとに遺伝子の機能状態についての網羅的な解析を目的としたものであり、その解析対象は遺伝子型解析の対象であるゲノム DNA などとは異なり、主に RNA、もしくは、それを調製した試料である。

1.2 本ガイドラインの目的と範囲
DNA チップは、近年の技術的進歩によって、基礎研究用のみならず、あらゆる疾患の検査・診断や各種薬剤感受性の検査などに利用されるようになってきており、新たなジャンルの次世代医療機器として期待されている。一方で、DNA チップは信頼性や再現性、標準化など臨床現場に広く導入するにはまだ問題も多い。これらの問題点を解決し、医療機器として DNA チップの開発意欲を向上させ、DNA チップ及び関連機器の開発を促進し活性化することを目的に、まず遺伝子型(ジェノタイピング)検定用DNAチップについて「テーラーメイド医療用診断機器(DNA チップ)開発ガイドライン 2007」を策定し、公表した(平成 19 年 5 月、経済産業省)。今回は、遺伝子発現解析用 DNA チップに焦点をあて、医療機器としての遺伝子発現解析用 DNA チップ及び関連機器の開発の促進・活性化を目的に、その指標となるためのガイドラインを策定する。 遺伝子発現解析用 DNA チップによる検査・診断への応用としては、疾患の早期発見・早期診断、客観的疾患分類・確定診断、治療法選択、病状変化把握や治療効果モニタリングなどが考えられる。臨床検査や診断などの実臨床で DNA チップを用いる場合、得られるデータの高い信頼性や再現性が重要であり、判定ミスや判定の曖昧さを極力排除しなければならない。特に遺伝子発現解析用 DNA チップの解析対象である RNA は不安定な物質であるため、検体の保管・運搬及び前処理を含めた取り扱いにおける質保証、さらに再現性や信頼性の確保など様々な問題点がある。この点については後に項目別に述べる。
DNA チップは専用の測定装置とともに使用され、複数遺伝子の測定値をアルゴリズムに基づいて解析し、医療情報として提供する。DNA チップおよび関連装置の開発の促進には、高性能な測定装置の開発だけでなく、データの互換性や精度や再現性の向上のための標準化も必要であり、またチップや装置の評価法についても指針が必要と思われる。そこで、本ガイドラインではチップを含めた測定装置、その評価方法、標準化と大きく 3 つの項目にわけて記述する。
なお、本ガイドラインは、DNA チップの研究・開発を円滑に進めるうえで有用と考えられる事項を掲げたものであり、製品化に当たって、これらの事項のすべてが必要となるとは限らず、また、これら以外の事項が必要となる可能性があることに留意すること。
1.3 検査対象とリスク
検査対象は、血液、生検組織、手術採取標品、病理検査用パラフィン包埋標品などが考えられる。特に生材料の採取にはその迅速性、適切な保存処理がその後の解析に決定的な影響を与えると考えられ、そのプロトコルの標準化が重要な問題である。得られた測定結果は疾患の診断、治療法選択、病状経過や薬剤効果のモニターなどの参考となる。また、検体の採取には侵襲を伴うため、その負担とリスクを軽減する工夫や事故の補償に配慮すべきである。RNA が解析対象であってもそこから一部のゲノム情報も得ることができるため、遺伝子型解析と同様に個人情報保護に注意する必要がある。

1.4 先行事例
遺伝子発現解析用 DNA チップの臨床応用がすでに始まっている例として、国外で開発された乳がんの治療法選択に用いられる MammaPrint があり、本邦でも保険適用外ではあるが一部医療機関で用いられつつある。また、DNA チップとは異なるが、同様に乳がんの治療法の選択の際の指標として、RNA を対象とした複数遺伝子の発現解析診断キットとして RT-PCR 法を基礎とした製品 Oncotype DX が実用化されている。

1.5 測定システム
遺伝子発現解析用 DNA チップと装置は、開発メーカーが意図した性能を確保するために、遺伝子発現解析用測定システムとして一体化したものとして扱うことが必要であろう。DNA チップの性能は、これを解析する装置と組み合わされて規定される必要があることから、DNA チップとこれを解析する装置は、一体化した状態での性能を規定し、その信頼性を評価するかたちが求められる。

GL:本体

2. 測定装置(チップと装置)
2.1 原理と構造
(1) 遺伝子発現解析用 DNA チップの検出原理
RNA の検出方式、装置で検出する出力信号を生み出す機構について詳細に検討する。

(2) チップと装置の構造
基板やプローブ DNA などチップを構成する主要素の仕様や形状・サイズ・構造などについて検討すること。特にプローブ DNA に関しては、Tm(melting temperature)値、GC(グアニン・シトシン)比、配列の特異性や長さなど、プローブ設計の要件について検討すること。また、PNA や LNA などの人工核酸を用いる場合はその化学的性質についても検討すること。また装置に関しては、装置本体の構成、装置を構成する各構成要素の仕様、機能の概略などについて検討すること。

2.2 方法
(1) 検出の概要
プロトコル、即ち検体の準備から、検出・判定に至る全工程の流れ、特に RNA 抽出・RNA 増幅・標識等のチップ・ 装置に導入する前工程、チップ・装置へのセッティング、装置での処理手順(処理条件)、信号から判定を導く工程等について技術的に詳細に検討すること。装置での処理は、マニュアル操作と自動操作の区別も明記し、操作におけるリスクについても評価すること。

(2) 装置の機能
信号検出特性に影響を与える可能性の高い温度制御機構、試薬送液機構、測定系、機械動作機構などは、各機構の動作、性能、役割を技術的に評価すること。また標準物質を用いて測定装置
の評価や基準光源などの基準信号源による測定装置自体の校正を行うことが望ましい。

2.3 特異性、感度・ダイナミックレンジ、再現性等について
(1) 特異性
他の手法の解析により配列や濃度が既知である試料を用いて、実験的に DNA チップの特異性を検討すること。実験での評価が困難な場合は、DNA プローブの選定プロセスを詳細に説明すること。また、目的遺伝子以外と交差反応する可能性がある場合は、そのリスクについても検討すること。

(2) 感度・ダイナミックレンジ
標準検体、標準物質などを用いて、検出系の検出限界濃度やダイナミックレンジを検討すること。この際、使用した DNA チップと検出装置、反応プロトコル、検出条件などを明記すること。

(3) 再現性
DNA チップ、および検査システムによって得られるデータの再現性は十分に検証すること。
再現性試験は、以下の項目について行うこと。
・有意な再現性を統計学的に判断するため、同一と見なされる試料に対し、少なくとも3つ以上の測定データを得ること
・検体は、複数の施設から収集すること
・再現性試験で使用される手順が、製品化時に示される手順と同様であること
・複数の製品ロットを使用すること

(4) 検査の品質管理
適切な陽性対照、陰性対照を設け、各種対照の意義、それらの結果がもたらす管理項目について技術的に検討すること。また、検査機器の設定条件に対するモニタリング方法及びフィードバック方法を検討し、所定の条件で検査が実施されていることをどのように管理されているか説明すること。各コントロール、モニタリング、フィードバックにより得られる情報から、異常データとその管理方法を想定すること。
(5) その他、性能特性に影響する要因
DNA チップを含めた測定における交差汚染には、別検体・別試料の混入の二者があり得るが、それぞれの予防に対してとるべき操作環境・設備・手順について技術的に検討し、また、交差汚染を評価するための試験を実施しその結果を残すこと。
検体に含まれる潜在な干渉物質は、必ずしも試料の調製によって除去できるとは限らず、試料の調製、または DNA チップでの検出に干渉する場合もある。したがって、干渉物質が検出性能に及ぼす影響について特性評価をすること。なお検査中の各種条件について、その設定根拠、特に RNA の定量に対する安定性について検討すること。

2.4 必要とするサンプル・検体、その前処理・保存法、試薬等について
(1) 検体
検体の品質が RNA の品質や RNA 増幅・標識に大きく影響するため、RNA を得る検体の種類(例えば血液、組織)およびその採取方法、採取量について検討すること。また検体の管理・保管方法については検討すること。

(2) 検体の前処理
検体から RNA を抽出・精製する方法について検討すること。また RNA の分解を防ぐための留意点を記すとともに、使用する RNA の品質の評価法について明記して、測定結果を保証できる RNA の品質基準を設定すること。なお RNA をなんらかの増幅法で増幅した上で用いる場合には、その増幅法と使用する試薬について検討すること。増幅した RNA を標識した上で後段の反応に使用する場合には、その処理法と使用する試薬について検討すること。

(3) サンプルの保存法
検体、精製 RNA、増幅 RNA、標識 RNA、といったすべての段階のサンプルについて、保管法及び輸送法について検討すること。すなわち、保管・輸送に適した温度と性能を維持できる期間について明記すること。

(4) 試薬
RNA の抽出・検査など各工程で使用される試薬について、その種類・濃度などに関して検討すること。試薬を DNA チップと共に提供する場合、再現性、精度等に対する試薬の影響について、プロセスの各段階で検証した結果を残すこと。試薬を DNA チップと共に提供しない場合には、 DNA チップ使用者が適切な試薬を選択できるよう、必要な試薬の仕様および RNA の品質と量を評価するための方法・仕様を技術的に検討すること。

(5) 試薬の保存性・安全性
各工程の反応に使用される試薬の保管法・輸送法についても検討すること。また各工程で使用される試薬の安全性、および安全な取り扱いに必要な注意事項を検討すること。
(6) 自動操作
サンプル調製に関して人為的要因による差異、施設間の差異を回避するために、自動化の導入が考えられる。自動化する際は、分注精度、温度制御精度を明記すること、試料間の交差汚染を防御できる構造、機構であること、環境からの汚染、例えば、空気中に浮遊している反応阻害物質、 RNA 分解酵素等の汚染物質の混入を防止できる構造であること、トレーサビリティを確保可能な機構であること、人的過誤を回避するための工夫が施され、作業者への安全性が確保できること等を考慮すること。また、自動化が導入された場合も、その結果の再現性等、妥当性を確認すること。

2.5 ソフトウェア
(1) 装置を構成するソフトウェアの概要
装置のソフトウェア構成、その機能、関係性について技術的に検討すること。その際、ユーザが直接操作する部分、機器を制御する部分、データの解析を行う部分、データの管理を行う部分等について、項目に分けて文書化されていること。特にデータの処理、解析ソフトウェアについては、詳細を記した説明書を作成すること。また、更にはユーザが操作ミスをした場合の動作、機器に異常が発生した場合の動作、停電発生時・停電復帰時の動作等、正規の操作・動作以外の状況発生時の対応についても検討すること。ソフトウェアの開発・設計に関しては国際規格(例えば IEC 62304:2006)などを参照すること。

(2) 判定アルゴリズム
判定アルゴリズムについて、少なくとも判定に用いるプローブ DNA の種類、各プローブの重複数、判定に用いる測定値の定義、各プローブの測定値から判定を行うためのアルゴリズム、判定に必要な基準値の定義とその設定における統計学的な根拠、最終的な判定結果とその信頼度が十分な詳しさで文書化されていること。

2.6 データ処理
本装置を用いて取得したデータについてデータを保護するための手順が確立され、トレーサビリティの観点から、検査日時、検体 ID、DNA チップ及び試薬ロット、検査プロトコル、測定装置の対応が付けられるようにデータ管理されていること。

2.7 品質管理
(1) DNA チップ
保存方法、保存期間、安定性など、DNA チップの品質に関わる基本情報、チップに固定するプローブ DNA の品質管理について検討すること。特に DNA チップの品質管理に関連しては、 ISO/DIS16578 規格名称「マイクロアレイを用いた特定核酸配列の検出に関する一般的定義と要求事項」や GMP/QMS(ISO13485)などの製造管理/品質管理体制を検討すること。
(2) 検査装置
装置の校正方法、校正(検査)頻度、校正に用いる標準物質、合格規格、交換部品など、検査装置の品質に関わる基本情報、検査装置の品質管理に関連した GMP/QMS(ISO13485)などの製造管理/品質管理体制に関して、検討すること。

3. 評価法
3.1 評価項目
当該 DNA チップの評価法としては、以下の項目を含むこと。
(1) 他の発現解析手法との比較
(2) データ解析、解析ソフト
(3) 妥当性の確認
(4)臨床性能試験
(5) 判定アルゴリズム
(6) データ管理
(7) 安全性

3.2 他の発現解析手法との比較
DNA チップの評価にあたっては、他の遺伝子発現の解析法と比較検討すること。比較は診断上重要な遺伝子について重要性を言及した後、当該遺伝子を対象に、少なくとも 1 種類の同一と見なされる RNA を鋳型にして定量する方法により行い、両者の一致率を遺伝子ごとに検討すること。遺伝子定量法としては、当該プラットフォーム以外の一般的な手法、もしくは性能が確認されている既承認の他の DNA チップ等を用いることができる。

3.3 データ解析、解析ソフト
解析ソフトについては、用途に対して十分であることを適切に妥当性が検討され、同一データから同一の結果が得られること。その再現性を保証するためには、アルゴリズムを明確に表現すること。具体的には正規化の手法、データ補正の方法、マーカー遺伝子の抽出方法、判定の方法などを数式等で表し、数値化したデータに基づき判定されること。

3.4 妥当性の確認
妥当性の検討にあたっては、各方法の良否の確定に用いる手法は、コスト、リスクおよび技術的可能性のバランスを十分に検討し、次の事項のうちの一つ、またはそれらの組合せであり、客観的な結果を残すこと。
・他の解析法で得られた結果との比較
・試験所間比較
・結果に影響する要因の系統的な評価・方法の原理の科学的理解および実際の経験に基づいた有意性の評価
また失敗事例(判定不能、器具の故障、試薬の不具合等に起因するもの)に関しても分析すること。

3.5 臨床性能試験
本項目については、平成 24 年 11 月 20 日付薬食機発 1120 第 5 号通知別添2「RNAプロファイリングに基づく診断装置の評価指標」を参照のこと。

3.6 判定アルゴリズム
本項目については、平成 24 年 11 月 20 日付薬食機発 1120 第 5 号通知別添2「RNAプロファイリングに基づく診断装置の評価指標」を参照のこと。

3.7 データの管理
原則として試料の種類、試料数、試料の調製法あるいは起源、試料の使用目的(特異性など)の記録を残すこと。最終的な結果の出力だけではなく、結果出力前の画像ファイルや数値データ等を保存すること。なお信号の検出・分析、データ保存については、プライバシーとセキュリティを十分に確保すること。また結果に疑問が生じた場合には、データ処理段階毎に確認が可能となること。

3.8 安全性
交差汚染を評価するための試験を実施して結果を残すとともに、判定に失敗した場合、あるいは判定結果の解釈に失敗した場合のリスクも評価し、その際に用いたリスク分析手法についても検討すること。

4. 標準物質
4.1 目的
遺伝子発現解析用DNAチップ開発の各フェーズに応じて標準物質に求められる要件を示し、
該開発品を用いた遺伝子発現解析データなどの信頼性を向上させることを目的とする。

4.2 標準物質に求められる要件
DNAチップ開発に用いられる標準物質には、特性の異なる様々なアレイ技術の精密性評価・正確性評価・結果表示のためのアルゴリズム検討に用いるもの(測定対象標品)や、当該開発品製造時の品質管理やルーチン検査における精度管理に用いるもの(精度管理用標準物質)がある。また、これらには測定結果のトレーサビリティの確認にも適用可能な性能が求められる。従って該開発品製造における標準物質の選定に当たっては以下の方法論的課題を考慮すべきである。

4.2.1 標準物質の選定
(1) 測定対象標品の選定
当該開発品が検出対象とする遺伝子と遺伝子発現量の相対比較に使用される塩基配列を含むサンプルによる評価が求められる。これらの被検対象への値付けや当該開発品の校正を行うため、測定対象標品には対象遺伝子を含む複数のヒトRNAサンプルや遺伝子発現量の相対比較に使用される内在遺伝子や人工的な対照塩基配列を含むサンプルを使用することを推奨する。また、測定対象と同じ塩基配列を有する上位の標準物質(認証標準物質など)を用いて被検対象の値付けをすることによって、測定結果のトレーサビリティを確認することもできる。

(2) 精度管理用標準物質の選定
解析対象の特定遺伝子を検出できることが開発の過程で確かめられている当該開発品を市販のために製造する場合、当該開発品が正確な指示値を示すよう調整するために精度管理用標準物質を使用する。精度管理用標準物質には対象遺伝子や人工的な非遺伝子塩基配列のうち、ヒト染色体遺伝子よりも安定性に優れ、増産が可能である合成RNAやcDNA或いはその鋳型となるプラスミドDNAが適用され、当該開発品の性能評価が可能な部分の遺伝子配列或いは任意の非遺伝子塩基配列が含まれていれば良い。全塩基配列長等の仕様は被評価対象開発品の特性に合わせて開発者により決定されて差し支えないが、統一された測定条件(細胞溶解用緩衝液、プロテアーゼ、制限酵素等、抽出試薬に関する品質管理方法及びRNAの標準処理手順マニュアル)が設定されるべきである。

4.2.2 標準物質の管理
(1) 品質管理
標準物質は選定時にDNAシークエンシング等の方法によって配列を確認すること。標準物質を酵素合成等によって複製する場合は、複製ロット毎に遺伝子配列の確認を行うことによって相同性を担保する。また、電気泳動やHPLCなどを用いた塩基鎖長評価を行うことで、宿主由来塩基配列の混入や目的とする塩基配列の純度を確認する。精度管理用標準物質は酵素合成法による複製を経て使用されるが、複製を行う場合には適切な頻度で遺伝子配列が確認されなければならない。

(2) 純度
複製の鋳型などに用いるDNAの合成については、ホスホロアミダイト法等の一般的な方法を行い、目的とした遺伝子配列が合成されていることをDNAシークエンシング法、質量分析(T
OF‐MS)、HPLCや電気泳動法によって確認する。

(3) 濃度単位
標準物質を感度試験に用いる場合には、核酸定量法によって求められた既知濃度の標準物質を用いて希釈検体を作製し、検出感度の検定を行う。なお、核酸定量は吸光度法(OD260) によって実施する場合、260 nm に吸収を持つ不純物が含まれていないことを確認する必要がある。また、可能な場合、濃度値が付与された認証標準物質によって値付けした標準物質を用いることで、トレーサビリティの確認を行うこともできる。

4.2.3 標準物質の入手
測定対象となる塩基配列については、CDCの Genetic Testing Reference Material Coordination Program1)において reference material として確立された細胞株を、国内公的機関、例えば独立行政法人 産業技術総合研究所などが Coriell 医学研究所を通じて入手し、保存及び管理を行い、当該開発品の機能評価を受託業務として実施するので、それらを利用することができる。なお、ヒトゲノムCDCサンプルの保存中又は培養による後天的変異を監視するための定期的な検査も可能である。精度管理用標準物質としては、産業技術総合研究所が頒布するトレーサビリティが確立された認証標準物質を利用することができる。
注1) Genetic Testing Reference Material Coordination Program (GeT-RM)は、遺伝子検査におけるQC、研究、検定試験や測定データの検証に適した参照物質を研究者が利用できるよう、
CDC主導の基に設立された綱領である。)

GL:付属資料

引用関連規格

国内関連GL

海外関連GL

WG開始年月

WG終了年月

WGメンバー

座長 林 慎一 東北大学大学院 医学系研究科 教授
秋山 英雄 東レ株式会社 新事業開発部門 主席
油谷 浩幸 東京大学 先端科学技術研究センター 教授
楠岡 英雄 国立病院機構 大阪医療センター 院長
久原 哲 九州大学大学院 農学研究院 教授
桑 克彦 日本臨床検査標準協議会(JCCLS) 理事
住谷 知明 プレシジョン・システム・サイエンス株式会社 事業開発担当 部長
橋本 幸二 株式会社東芝 部品材料事業統括部 DNA チップ事業推進統括部
DNA チップ技術・開発担当 グループ長

報告書(PDF)

2012-E-DI-021-H23-報告書

報告書要旨(最新年)

承認済み製品(日本)

(医療機器クラスⅠ・Ⅲ) 遺伝子多型解析キット「AmpliChip CYP 450」(ロッシュ社) チップ:体外診断用医薬品(クラスⅢ)、解析装置:医療機器(クラスⅠ) 日本申請日:2007年2月、日本承認日:2009年5月 ヒトパピローマウイルス核酸タイピングキット「クリニチップHPV」(第一化学薬品㈱、㈱東芝、東芝ホクト㈱) 日本申請日:2007年5月31日、日本承認日:2009年7月30日

承認済み製品(海外)

製品開発状況

製品に関連する規格:ISO 21474-1:2020(医療用バイオチップ実用化促進に向けたヒト核酸の測定プロセスに関する国際標準化((特非)バイオチップコンソーシアム))

Horizon Scanning Report