附録
A. 解説
B. 参考文献
1. 規格
2. 関係法令通知等
3. その他
C. 参考情報
A. 解説
1. はじめに
活動機能の回復という目標を達成するための物的なアプローチは、高度な技術を用いた医療機器から日常生活用具まで、広範囲にわたる。本ガイドラインは、主にリハビリテーション分野で利用される医療機器のうち、ロボット技術を用いた活動機能回復装置の開発にあたって参照されることを期待しているが、今回のガイドラインで想定した機器は、活動機能回復装置として定義される機器のうちのごく限られた一部に過ぎず、今後ガイドラインの対象を拡張していく必要がある。ただし、本ガイドラインに定められている事項は、人への物理的接触を伴うロボティクス・メカトロニクス機器全般について、開発の際に考慮するとよい事項も含まれている。
2. ガイドラインの適用範囲
本ガイドラインは、3.1 項で定義するロボット技術を用いた活動機能回復装置のうち、医療機器に該当するものを開発する際に参照されることが期待されている。
「活動機能回復装置に関する評価指標」(平成 25 年 5 月 29 日薬食機発 0529 第 1 号(別添 2))において、「活動機能回復装置とは、基礎的な作業理論を組み立て、活動情報データの定量化を行うもので、身体・認知機能及び身体構造の回復そのものを目的とするだけでなく、最終的に生活の活動、社会への参加を支援し、生活機能を向上させるために、病院・施設・在宅など生活空間で使用する装置等を指す。」と定義されている。当該評価指標では医療機器を想定しているが、非医療機器であっても、この定義に該当する機器は存在する。
なお、本ガイドラインにおいて、医療機器/非医療機器のカテゴリ分けは日本の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬事法)の定義に基づき考えている。
海外の多くの国においては医療機器のカテゴライズが日本とは異なっている。典型的な例として、電動車いすがある(日本国内では非医療機器であるが、海外の多くの国では医療機器として取り扱われる)。開発した製品の海外展開を検討する際には、NPO 法人 海外医療機器技術協力会(OMETA)や独立行政法人 日本貿易振興機構(JETRO)などが相談窓口になりうる。また、本ガイドライン本文では、引用する規格は原則として JIS 規格としているが、海外展開可能な医療機器を開発するためには、IEC60601-1 をはじめとする、医療機器に関する各種国際規格に適合する必要がある。
医療機器の例(承認・認証済のもの):ReoGo(Motorika 社)、LR2(安川電機)
非医療機器の例:C-Leg(Ottobock 社、義足)、スマートトレーナー(竹井機器工業、トレーニング機器)
本ガイドラインにおいては、上記のように定義される活動機能回復装置のうち、ロボット技術を用いたもの、すなわちセンサ、制御装置、アクチュエータの 3 つの要素を有する活動機能回復装置であって「医療機器に該当するもの」において参照されることを想定している。
なお、医療機器の該当性については、適宜、規制当局に相談すべきである。 本ガイドラインの使用者としては、医療機器、医療的行為・目的に該当する活動機能回復装置の研究開発に携わる人を想定する。ただし、「1.はじめに」にも述べたように、本ガイドラインに含まれている情報は、人との物理的接触を伴うロボティクス・メカトロニクス機器の開発に携わる人にも参考となるはずである。
3. ロボット技術を用いた活動機能回復装置
3.1 定義
「2. ガイドラインの適用範囲」に述べた通り、活動機能回復装置の定義は、「活動機能回復装置に関する評価指標」(平成 25 年 5 月 29 日薬食機発 0529 第 1 号(別添 2))を基礎としている。また、ロボットの定義は ISO 8373:2012 などにもあるが、本ガイドラインにおいてはロボット産業政策研究会報告書によった。
3.2 装置の構成
本ガイドラインでは、対象となる装置を「周辺環境及び自身のセンシングをもとにアクチュエータを介して運動出力をもたらすもの」に限定する。これは一般的なメカトロニクス機器において、センサ、アクチュエータ、制御装置のすべて要素を持つものに相当する。ただし、これにあてはまらない装置であっても、活動機能回復装置として機能する装置は当然存在しうる。これらについては、今後ガイドラインの拡張が必要である。
なお、機能的電気刺激(FES)のように、アクチュエータの代わりに使用者の身体に直接刺激を加えて運動出力をもたらす方法があるが、本ガイドラインでは取り扱わない。使用者の身体に直接刺激を加えて運動出力をもたらす装置のうち、生体内に植え込みを行う装置については、「植込み型神経刺激装置 開発ガイドライン 2010」が既に策定されているので、そちらを参照していただきたい。
4. 開発にあたって留意すべき事項
4.1 開発コンセプトの明確化
開発する機器を医療機器として市場に出すことを目指す場合、薬事承認、認証又は届出の手続きを行う必要がある。医療機器の製造販売承認申請にあたっては、様々な項目に関する説明と、その裏付けとなる資料を準備する必要がある。開発が進んだ後の段階になってから必要な手続きの準備を始めようとするのは、大きな労力を要し、場合によっては不足部分の補完のため上市予定が遅延することも起こる。こうした事態を避けるためには、開発の初期の段階から、薬事申請を意識して開発コンセプトの明確化を行っておくことが望ましい。以下、注意すべき点について述べる。
○「品目の仕様」について:品目の仕様という言葉が指すものは、一般的な設計仕様が指すものとは異なっている。医療機器の製造販売承認申請書の作成に際し留意すべき事項について(平成 26 年 11 月 20 日付け薬食機参発 1120 第1号厚生労働省大臣官房参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当)通知)には、「品質、安全性及び有効性の観点から、本品の要求事項として求められる設計仕様のうち、「形状、構造及び原理」に該当しない事項を記載する。これらの内容は、主に設計段階の検証により得られた製造販売する品目の品質、安全性及び有効性を保証した内容であり、(中略)求められる規格等を設定すること。(後略)」と説明されている。
○「意図する効果や効能が同種の製品の国内外での使用状況」について:同種の製品の国内外での使用状況を明確にすることで、有効性を示すための比較対象の設定が容易になると期待できる。狭い意味での「同種の製品」に限らず、同じコンセプトの製品、すなわち意図する性能や効果が同種の製品も含めて考える。それでも該当する製品がない場合には、意図する性能や効果を得るために現在広く用いられている方法(例えば人手による方法など)を挙げてもよい。
○「性能と効果に関する作用機序」について:開発しようとする装置の持つ機能が生体に所期の効果を及ぼす仕組みについて、開発者がどのように想定しているかを説明する。開発段階では、この想定は仮説であっても差し支えない。こうした想定を行うことにより、評価項目の設定が容易になると期待できる。
なお、平成 25 年 11 月に、薬事法がその名称も含めて大幅に改正された。改正の趣旨および内容については、「薬事法等の一部を改正する法律等の施行等について(平成 26 年 8 月 6 日 薬食発 0806 第 3 号)」等の文書を参照いただきたい。
4.2 リスクマネジメントの適用
(1) JIS T 14971:2012(ISO 14971:2007)によると、リスクマネジメントプロセスは、
-ライフサイクルを通して医療機器の関連するハザードの特定、関連するリスクの推定及び評価を行い、
-これらのリスクをコントロール(注)し、 -そのコントロールの有効性を監視する、
一連のプロセスであるとされる。(JIS T 14971:2012 図 1 及び附属書 B の図 B.1 を参照)
注)リスクコントロールとは、規定したレベルまでリスクを低減するか又はそのレベルでリスクを維持するという決定に到達し、かつ、そのための手段を実施するプロセスのことを指す(JIS T 14971:2012 2.19 による)。
医療機器のライフサイクル全体を対象としたリスクマネジメントを実施するための体制づくりや、文書化のしくみづくりに、開発が進んでからとりかかるのは非常に労力が大きくなるし、場合によっては必要な情報が散逸してしまい、開発の後戻りが必要になるおそれもある。開発初期の段階からリスクマネジメントの体制や方法を定めておくことが望ましい。
(2) 考慮すべき事項のうち、「合理的に予見できる誤った使用」に関連して、「ユーザによる装置の転用・改造」について、開発 WG 委員会において議論があった。
医療機器の薬事申請を行う際には、目的とする効果・効能を特定しなければならない。また、特定したもの以外の効果・効能を訴求しようとする場合には、変更のために必要な薬事手続きを事前に行わなければならない。これとは別に、ユーザがメーカーの想定と異なる用途・目的で装置を使用したり、装置を改造したりすることが考えられるが、「合理的に予見できる誤った使用」として、こうした転用・改造を防ぐ手段を講じる必要がある。
さらに、効果・効能を正しく発揮するために、ユーザの身体への適合や、動作のチューニングなどを行うことが必要となる場合もあるが、これらは転用や改造とは区別する必要がある。ただし、適合やチューニングの不適切な実施に伴うリスクについては検討しなければならない。
(3) ここでは、製造された製品のライフサイクルの各段階でのリスクマネジメントについて述べている。ここで取り上げている「考慮が必要な項目の例」は、あくまでも事例であり、すべての装置がこの項目を考慮しなければならないということではない。例えば、「ⅱ)据付」に記載されている「装置の転倒防止対策」は、装着型の装置などには該当しない。個々の装置のライフサイクルにおけるリスクを網羅的に想定し、必要な対策を取ることが重要である。
4.3 品質マネジメント
リスクマネジメントと同様に、品質マネジメントも開発が進んでからとりかかるのではなく、初期の段階から意識することが望ましい。医療機器の製造については、「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」がある。
医療機器の品質管理の国際規格としては、ISO 13485:2003(JIS Q 13485:2005)がある。
5. 個別留意事項
5.1 電気的安全性
(1) 医療機器の電気的安全性に関する試験は、JIS T 0601-1、IEC60601-1 等、電磁両立性に関する試験は JIS T 0601-1-2 に規定する試験方法を用いる。これらに合致しない試験方法を用いる場合は、合致しない箇所、合致しない理由、当該試験の妥当性について記録しておく。電磁両立性(EMC)試験に関する規定を定めている、JIS T 0601-1-2:2012(医用電気機器― 第1-2部:安全に関する一般的要求事項―電磁両立性―要求事項及び試験)は、IEC 60601-1-2:2001(2004 年修正)に対応している。IEC 60601-1-2 の最新版は 2014 年版であるので、必要に応じてこちらも参考にすることができる。
(2) 装置単体として EMC 試験についての規格を満たしたとしても、周囲の電磁的環境によっては装置が安全に使用できるとは限らないため、リスクアセスメントにおいて考慮が必要である。
5.2 生物学的安全性
(1) 医療機器の生物学的安全性に関する試験は、「医療機器の製造販売承認申請等に必要な生物学的安全性評価の基本的考え方について(平成 24 年 3 月 1 日薬食機発 0301 第 20 号)」に規定する試験方法を用いることが望ましい。同通知の表 1 に、接触部位及び接触期間に基づき考慮すべき評価項目が挙げられている。ただし、通常の使用において健常皮膚以外には接触しないと想定される機器については、緩和されることもある。本開発ガイドラインが取り扱う、ロボット技術を用いた活動機能回復装置の多くは、健康な皮膚への接触が想定されると考えられる。
(2) 皮膚への接触部で使われる材料の試験は、「医療機器の製造販売承認申請等に必要な生物学的安全性評価の基本的考え方について」及び JIS T 0993-1(ISO 10993-1)に従って行うこと。
5.3 機械的安全性
(1) ロボット技術を用いた活動機能回復装置の機械的安全性に関しては、基本的には JIS T 0601-1 及び IEC 60601-1 に記載されている機械的安全に関する要求事項に従う。また、産業用ロボットやパーソナルケアロボットに関する各種規格を参照することができる。例えば、ISO 10218-1:2011 の Annex A に掲載されている重要危険源リスト等を利用して、危険源の見落としがないか確認するとよい。
リスクアセスメントにあたって、健常者と患者や障害者では、想定すべきリスク(発生確率や危害のひどさ)が異なる可能性があることに十分な注意が必要である。また、使用時だけではなく、据付、保守、修理など、機器のライフサイクルの各段階における危険源についても検討する必要がある。
機械的安全性に関する検討の事例として、アクチュエータ出力に関するいくつかの情報を示す。
ⅰ)人間の発揮力アクチュエータの出力の設定の際には、例えば独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)の人間特性 DB などに示されている人間の発揮力を参考にすることができる。ただし、人間の発揮力は個人差や環境等の影響を受けるため、あらゆる人にとって安全なアクチュエータの出力範囲を見積ることは難しい。また、例えば関節拘縮の治療のように、リスク低減のためにアクチュエータ出力を制限することによって、関節に適切な外力が加えられなくなり、期待されるベネフィットが得られなくなる状況なども想定される。
ⅱ)産業用ロボット等の出力過去には産業用ロボットの国際規格や日本の労働安全衛生法規の中では、最大出力が一定値以下であれば産業用ロボット等と人との協働が許容された。しかし現在は、規格や法規の改正により、こうした判断は出力の大きさだけによるものでなくなった(「産業用ロボットに係る労働安全衛生規則第 150 条の 4 の施行通達の一部改正について(平成 25 年 12 月 24 日基発 1224 第 2 号)」等。
非医療用パーソナルケアロボットに関する国際規格である ISO 13482(Robots and robotic devices -- Safety requirements for personal care robots)においては、パーソナルケアロボットのいかなる部分であっても、人や安全に関連する物体に加える力は、力の制限値などの最大安全接触基準の範囲内で制御されなければならないことなどが述べられている。ロボットが用いるアクチュエータの出力については、ある出力以下であれば安全であるという考え方ではなくなっており、リスクアセスメントによる個別判断が必要であると言える。
(2) ⅱ)について、一般的には機械に異常が発生した場合、それによってもたらされる危害を防ぐために、速やかに機械が停止するように設計すべきであると考えられている。しかし、人工心臓や飛行中の航空機のように、運用中に機械が停止すること自体が、重大な危害をもたらす場合がある。活動機能回復装置で想定される例では、倒立振子の原理を用いた移動支援機器やバランス保持支援機器などで、運用中に機械が停止するとユーザの転倒を招く場合が考えられる。このような場合には、機器に異常状態が発生しないよう、安全関連制御系の信頼性をより高い水準にする必要がある。
5.3.1 非常停止
機械安全分野においては、「非常停止」という用語が使われるが、JIS T 0601-1 においては「緊急停止」という用語が使われている。本ガイドラインにおいては、JIS T 0601-1 を引用する場合以外は「非常停止」で統一した。
JIS B 9703(ISO 13850)に規定される非常停止機能は、停止カテゴリ 0(アクチュエータへの動力の即時供給遮断、危険な部位とアクチュエータ間の機械的分離、必要な場合ブレーキによる制動)又は停止カテゴリ 1(停止するためにアクチュエータへの動力を必要とし、停止した時動力が遮断される制御停止)のどちらかに従う機能としなければならないと定められている。
なお、JIS B 9703 において、「非常停止を設けてもリスクが低減しない機械」及び「手持ち機械及び手案内機械」については規格の適用対象外と定められており、すべての機械に非常停止機能を設けなければならないわけではないが、適用範囲外とするには十分かつ詳細なリスクアセスメントが必要とされる。
5.4 耐久性、洗浄・滅菌性
5.4.1 耐久性
医療機器の耐用期間を評価する手法として、「医療機器の耐用期間設定評価手法ガイドライン」
(厚生労働科学研究費補助金 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業 医療機器の耐用期間設定評価手法に関する研究(平成 14 年度~平成 16 年度))が公表されている。同ガイドラインは医療機器関連団体の自主基準の中で参照されている事例がある。また、医療機器メーカーにおいて機器の耐用年数を算定、評価するにあたり、同ガイドラインの附属書 B「耐用期間設定評価手法の手順」を用いている事例がある。
5.4.2 洗浄・滅菌性
装置の洗浄・滅菌性に関して、ロボット技術を用いた活動機能回復装置の多くは、使用される部位の皮膚が健常皮膚(損傷のない皮膚)であると想定される。また、同一の装置が不特定多数の患者に使用されることが想定される。使用状況を考慮して洗浄・滅菌性の検討を行う必要がある。
装置の使用時に用いられる消毒の方法としては、水蒸気や熱湯、紫外線、薬品などが想定される。装置にこれらが適用された場合のリスクについても見積もっておく必要がある。
手術ロボット等と異なり、ロボット技術を用いた活動機能回復装置の多くは、滅菌状態部位に接触することは想定されない。もし滅菌状態の部位に接触する可能性がある場合は、上記に加えて以下の項目についても検討する。
ⅰ)滅菌を行う部位と、行わない部位の区画を行い、前者を滅菌する方法を決定すること。 ⅱ)さらに、滅菌を行う部位を単回使用とするか再利用を許容するかを決定すること。再利用を許容する場合、必要な洗浄方法やオーバーホールの方法、再利用可能かどうかの判定方法と、それらを誰が行うかを決定すること。
5.5 ソフトウェア
ロボット技術を用いた活動機能回復装置で用いられているソフトウェアは、個々の装置によって複雑さや装置の安全に及ぼす影響が異なるため、本ガイドラインでは関連規格の紹介にとどめている。
ただし、CE マーキング表示のためには、IEC 62304 適合は必須であり、海外輸出を狙うなら、IEC 62304 への適合が必要になる。また輸出を考慮しない場合でも、プロセス管理は開発初期から記録を残しておかないと、後戻りが発生し、開発期間への影響が非常に大きくなるため、開発初期から規格に準拠した開発・品質管理工程を導入することが推奨される。
ソフトウェア開発プロセスを規定するための方法のひとつに、V 字型モデル(V 字モデル、V モデル)がある。これは、システムの上流(要求仕様)から下流(詳細)への設計の流れと、詳細レベルからシステムレベルへの統合と検証の流れとを V 字型にあらわしたものである。各レベルの設計における要求仕様について、同じレベルで検証が行われる。開発と検証のプロセスを規定することにより、より信頼性の高いソフトウェアの開発を目指す。
「ソフトウェアテスト見積りガイドブック~品質要件に応じた見積りとは~」情報処理推進機構ソフトウェア・エンジニアリング・センター
5.6 性能試験
活動機能回復装置のスコープは幅広く、想定される形態も様々であることから、必要となる性能試験項目も機器によって異なることが考えられる。性能試験に関する項目については、今後引き続き検討を行っていく予定である。
6. 臨床の場での使用を前提とした開発の重要性
医療機器であるロボット技術を用いた活動機能回復装置の開発にあたっては、安全性および有効性の評価を行うために臨床研究の実施が必要となる可能性がある。臨床試験(治験)において評価すべき項目やその方法については、厚生労働省より示される「活動機能回復装置に関する評価指標」及び「医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成17 年 3 月 23 日厚生労働省令第 36 号)」を参照すること。
また、開発の初期から、医師等と協力して、臨床の場での使用を前提とした開発を進めること。
例えば、開発しようとする装置に期待される効果について、(1) どのような患者(P)に適用するか、(2) 介入手段(I)、(3) 比較対照群(C)、(4) 有効性を評価するための指標(O)等を、医師等の助言の下で想定しながら開発を進めることにより、臨床での評価が容易になる可能性がある((1) ~(4) の 4 項目は、それぞれの頭文字を取って、PICO と呼ばれる)。
臨床研究の実施に先立ち、実施者は通常倫理審査委員会の審査を受ける。また、倫理審査委員会から、その臨床研究を実施しても差し支えないことを示すための非臨床試験評価の結果を求められることがある。どの項目につきどのような試験評価が必要であるかについては、個々の装置のリスクマネジメントにより決定すべきである。
B. 参考文献
B-1 規格
以下の表で、JIS 規格番号の欄に【対応 JIS なし】と書かれたものは、本ガイドライン作成時点で、対応国際規格欄に示した国際規格に対応する JIS 規格が発行されていないことを示す。
対応国際規格番号の下に記載された”IDT”及び”MOD”は、対応国際規格との対応の程度を表す記号である。それぞれの記号は、ISO/IEC Guide 21-1 に基づき”IDT”が「一致している」、”MOD” が「修正している」ことを示す。対応の程度は当該 JIS 規格の記載に基づく。
対応国際規格番号の欄に【廃止】と書かれたものは、本ガイドライン作成時点で有効な JIS 規格に対応する国際規格の版が最新版でないことを示す。【最新版】と書かれた規格番号が、本ガイドライン作成時点での、当該国際規格の最新版である。
B-1-1 医療機器関連
B-1-2 機械安全関連
B-2 関係法令通知等
平成 25 年 11 月 27 日の薬事法等の改正については、以下にまとめられているので参照いただきたい。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000045726.html
1. 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬事法)(昭和三十五年八月十日法律第百四十五号)
2. 薬事法等の一部を改正する法律等の施行等について(平成 26 年 8 月 6 日薬食発 0806 第 3 号)
(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の改正の趣旨および内容が記されている。)
3. 医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成 16 年 12 月17 日厚生労働省令第 169 号)
(「薬事法等の一部を改正する法律及び薬事法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令(平成 26 年 7 月30 日厚生労働省令第 87 号)」により改正)
4. 医療機器又は体外診断用医薬品の製造管理又は品質管理に係る業務を行う体制の基準に関する省令(平成 26 年 8 月 6 日厚生労働省令第 94 号)
5. 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二十三条の二の五第七項第一号に規定する医療機器又は体外診断用医薬品の区分を定める省令(平成 26 年 8 月 6 日厚生労働省令第 95 号)
6. 医療機器の製造販売承認申請等に必要な生物学的安全性評価の基本的考え方について(平成 24 年 3 月 1 日薬食機発 0301 第 20 号)
7. 薬事法第四十一条第三項の規定により厚生労働大臣が定める医療機器の基準(平成 17 年 3 月 29 日 厚生労働省告示第 122 号)
(薬事法第四十一条第三項の規定により厚生労働大臣が定める医療機器の基準の一部を改正する件(平成 26 年 11 月5日厚生労働省令第 403 号)により、改正)
8. 医療機器の製造販売承認申請について(平成 26 年 11 月 20 日付け薬食発 1120 第5号厚生労働省医薬食品局長通知)
9. 医療機器の製造販売承認申請書の作成に際し留意すべき事項について(平成 26 年 11 月 20 日付薬食機参発 1120 第1号厚生労働省大臣官房参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当)通知)
10. 医療機器の製造販売認証申請について(平成 26 年 11 月 20 日付薬食発 1120 第8号厚生労働省医薬食品局長通知)
11. 医療機器の製造販売認証申請書の作成に際し留意すべき事項について(平成 26 年 11 月 20 日付薬食機参発 1120 第4号厚生労働省大臣官房参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当)通知)
12. 高度管理医療機器の認証申請書に添付すべき資料の信頼性に関する資料の取扱いについて
(平成 26 年 11 月 20 日付け薬食機参発 1120 第8号厚生労働省大臣官房参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当)通知)
13. 活動機能回復装置に関する評価指標(平成 25 年 5 月 29 日薬食機発 0529 第 1 号(別添 2))
14. 労働安全衛生規則(昭和四十七年九月三十日労働省令第三十二号)
15. 労働安全衛生規則第三十六条第三十一号の規定に基づき厚生労働大臣が定める機械を定める告示(昭和 58 年 6 月 25 日 労働省告示第 51 号)
(産業用ロボットに関する規制から除外される機械を定めている。)
16. 産業用ロボットに係る労働安全衛生規則第 150 条の 4 の施行通達の一部改正について(平成25 年 12 月 24 日基発 1224 第 2 号)
なお、最新の法令通知等については、医薬品医療機器総合機構(PMDA)や各都道府県薬務担当部署の Web サイト等により確認いただきたい。
B-3 その他
1. 医療技術産業戦略コンソーシアム(METIS)/日本医療機器産業連合会:医療機器レギュラトリーサイエンスガイドブック
2. 医薬品医療機器総合機構:医療機器製造販売承認申請書添付資料概要作成の指針
3. 医薬品医療機器総合機構:「薬事法第四十一条第三項の規定により厚生労働大臣が定める医療機器の基準(平成 17 年厚生労働省告示第 122 号)」の基本的考え方
C. 参考情報
C-1 医療機器開発に関する相談窓口
1. 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA) http://www.pmda.go.jp/
2. 各都道府県薬務担当部署
C-2 開発する医療機器を海外で販売したい場合の相談窓口
1. NPO 法人 海外医療機器技術協力会(OMETA) http://www.ometa.or.jp/ 2. 独立行政法人 日本貿易振興機構(JETRO) http://www.jetro.go.jp/indexj.html
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